当科のモットー
1.安心して話せる、患者さん第一の診療
なかなか他人には話せないデリケートな悩みが多い泌尿器科では、安心感と信頼が何より大切です。
プライバシーに配慮し、患者さんと話し合ったうえで納得される医療を提供します。
2.確かな技術とやさしい医療
医療技術の向上のために日々研鑽し、低侵襲で安全な医療を提供します。
3.健康な未来を目指す
患者さんの今の症状を治療するだけではなく、早期発見や予防にも力を注ぎます。
当科の特徴
当科では、尿路感染症、排尿障害、尿路結石症、前立腺疾患、膀胱癌の診療を中心に、
低侵襲治療を提供しております。特に、尿路結石に対するレーザー治療、
前立腺肥大症に対するウロリフトを用いた経尿道的前立腺吊り上げ術や
Rezumシステムを用いた経尿道的水蒸気治療(Water Vapor Energy Therapy:WAVE治療)を行っています。
さらに難治性過活動膀に対しては経尿道的ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(ボトックス治療)を、
患者様の負担を軽減するため外来にて実施しています。
前立腺癌診断に関しては、MRIと経直腸的超音波ガイド下前立腺生検を行い、
正確な病期診断と早期発見に努めております。
治療に関しては、グループ病院である札幌東徳洲会病院放射線治療科と連携し、
強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)も行っております。
膀胱癌に関しては、狭帯域光観察(Narrow Band Imaging: NBI)内視鏡システムを用いた
膀胱鏡検査で見落としなく診断し、生理食塩水下に経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURis)を行っております。
また当院で施行できないロボット支援下腹腔鏡下治療なども、病病連携を利用して他院へ紹介し、
治療を行ってもらっております。
泌尿器の疾患は日常生活に大きな影響を与えますが、適切な診断と治療によって改善が可能です。
当科では、患者様一人ひとりに寄り添い、信頼される専門医療を提供しております。
気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
主な泌尿器科症状・疾患
症状
- 排尿困難・頻尿・尿失禁
尿が出しづらい、夜間の排尿回数が増えた(夜間頻尿)、咳やくしゃみ、排尿後に尿がもれる(尿失禁)、
急に尿意をもよおすなどの症状で困ればご相談ください。
年をとったからとか、周りにも同じような方がいるからいいやとは思わないでください。
男性であれば前立腺肥大症や前立腺癌、女性でも腹圧性尿失禁、過活動膀胱など治療すれば
改善する病気はたくさんあります。最近は薬や手術もどんどん進んでおり、10年前とは大きく変化しております。
このような症状で外出や旅行、スポーツなどをあきらめておられる方は、一度ご相談ください。
- 血尿
目で見て赤いおしっこ(血尿)が出た場合は、たとえその後血尿が出なくても泌尿器科を受診してください。
血尿は尿路疾患の最初のサインであり、腎臓や膀胱の腫瘍、結石、感染症がその原因であることがあります。
血尿には目で見て赤いとわかる肉眼的血尿と、目で見て赤くはないが検査で認められる顕微鏡的血尿の
2種類があります。一般的に痛みがない肉眼的血尿の場合は、膀胱癌をはじめとする尿路悪性腫瘍に
多く認められます。顕微鏡的血尿でも、約0.2~5.2%に尿路悪性腫瘍がみつかります。
血尿は止まったから良いというものではなく、何が原因で血尿が出ていたかが問題です。
早期発見が早期治療につながります。手遅れにならないよう、
早めに受診をして原因を調べましょう。
- 側腹部痛、背部痛
突然の側腹部痛や背部痛は尿管結石や腎梗塞の可能性があります。泌尿器科疾患以外でも膵炎や胆石、
解離性動脈瘤など緊急性を要する重大な疾患も考えられますので、早めに受診してください。
- 排尿痛
尿道炎や膀胱炎をはじめとする尿路感染症の時には、排尿痛をきたします。
発熱を伴う場合は重症化することがありますので、早めに泌尿器科を受診してください。
- 尿道分泌物
ペニスの先から膿が出るときは、尿道炎を疑います。尿道炎は尿道に細菌が侵入し、
排尿痛や膿の排出を認める疾患です。原因菌としては淋菌やクラミジアなど、性行為にて感染するものがあります。
男性では放置しておくと、精巣上体炎や前立腺炎まで発症し、将来的に尿道狭窄をきたすこともあります。
パートナーの女性に感染させた場合は、子宮頚管炎や卵管炎をきたすことがあります。症状が出にくいため、
無症状だからといって安心はできません。
これを放置しておくと不妊の原因や、出産に際して子供に感染することもあります。
この病気にかかった場合は、性行為のあったパートナーの検査治療も必要です。
本人だけが治療されていても再感染することとなりますので、必ず本人の病気の治癒を確認すると同時に、
パートナーが病気にかかっていない事も確認してください。また、これからの予防としては、
不特定多数の相手との性行為は感染の危険が高く、また他の性行為感染症の予防も考えると、
コンドームの装着(性行為の初めから)が重要となります。
さらにオーラルセックスでも感染の機会は十分ありますので、注意して下さい。
女性の方は、婦人科での検査治療をお勧めします。
- 陰嚢痛、陰嚢腫大
陰嚢疾患には、急性の痛みを伴う緊急対応が必要な疾患もあります。
1.精巣捻転:精巣が精索ごとねじれて精巣の血流が途絶える疾患です。6時間以内の手術が原則です。
思春期男子に多く、突然の陰嚢激痛が特徴です。
緊急受診が必要となりますので、早急に泌尿器科を受診してください。
当院では、小児に対しての手術は行っておりませんので、他院への受診をお勧めします。
2.精巣上体炎(副睾丸炎):尿路感染などが原因で、精管を通して精巣に連続する精巣上体に炎症が波及し、
発熱・腫れ・圧痛を認めます。抗菌薬での治療となります。
3.精巣炎:おたふく風邪(流行性耳下腺炎)に伴って起こります。思春期以降の男性に多く、精子形成
障害にともなう不妊症のリスクとなります。
4.陰嚢水腫:精巣周囲に液体がたまる良性の疾患です。超音波で診断し、穿刺排液や手術を行います。
5.精巣腫瘍:若年男性に多い悪性腫瘍で、痛みを伴わないしこりとして触れることが多いです。
腫瘍マーカーや超音波検査、CT検査で診断します。
6.精索静脈瘤:陰嚢違和感や不妊の原因になることがあります。
7.陰嚢湿疹・皮膚疾患:かゆみや発赤を伴う皮膚疾患です。
- PSA高値
PSA(前立腺特異抗原)の高値は、前立腺癌の可能性を示唆する重要なサインです。
前立腺肥大症や前立腺炎などでも高値となりますが、PSA値が高いほど前立腺癌のリスクが上がります。
特にPSAが4.0~10.0ng/mLのグレーゾーンの場合は、PSAの再検査やphi(Prostate Health Index)、
S2,3%PSA(エス・ツー・スリー・パーセント・ピーエスエー)などの前立腺癌の診断精度を高める
新しい血液検査も行っております。従来のPSA検査だけでは判断が難しかったグレーゾーンの患者に対して、
癌の可能性をより正確に評価して、不要な前立腺生検を減らしつつ、
臨床的に重要な癌を見逃さないようにしております。その結果前立腺癌を疑う方に対して、
組織検査を施行しております。当院では経会陰的超音波ガイド下生検を
施行しています。検診などでPSA高値を指摘された場合、触診、前立腺超音波検査、MRI検査後、
1泊2日での前立腺生検を行っておりますのでご相談ください。
当院では蛋白尿に関しては腎臓内科での診療となっております。
疾患
●尿路結石症(腎、尿管、膀胱結石) ●前立腺肥大症 ●過活動膀胱 ●尿失禁 ●水腎症
●前立腺癌 ●膀胱癌 ●尿管癌 ●腎臓癌 ●膀胱炎 ●前立腺炎 ●精巣上体炎
●急性腎盂腎炎 ●間質性膀胱炎 ●尿路性器感染症
診療案内
泌尿器科受診に当たっては、ほぼ全ての方に尿検査を行います。病院受診時には排尿せず、
看護師の指示をお待ちください。
また今までの病歴やアレルギーなどを記載した書類や薬手帳、健診結果、他院からの紹介状がありましたら、
受付にご提示ください。
診察に呼ばれましたら、付き添いの方も一緒に診察室にお入りください。
医師紹介
専門分野
泌尿器一般 泌尿器癌 排尿機能 尿路結石症 尿路性器感染症
認定資格
医学博士 日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医 日本性感染症学会認定医
所属学会
日本泌尿器科学会 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 日本超音波医学会
日本性感染症学会 日本在宅医学会
院内環境
診察室 砕石室 手術室
設備紹介
軟性膀胱鏡
硬性膀胱鏡
超音波検査装置
尿流量測定装置
硬性尿管鏡 軟性尿管鏡
腎盂鏡 レゼクトスコープ
体外衝撃波結石破砕装置
高周波電気メス
リソクラスト(圧縮空気による結石破砕装置)
レーザー治療装置
干渉低周波装置
(骨盤底筋を刺激する、頻尿・尿失禁治療装置)
治療・手技紹介
経尿道的前立腺吊り上げ術(Urolift:ウロリフト)
Rezumシステムを用いた経尿道的水蒸気治療
Rezumシステムを用いた経尿道的水蒸気治療(Water Vapor Energy Therapy:WAVE治療)は、
外尿道口から内視鏡を挿入し、前立腺の内側から針を穿刺して前立腺組織内に水蒸気を噴霧します。
水蒸気は前立腺組織内に拡散し、組織を変性縮小させます。変性した組織が体内で経時的に吸収されることで、
前立腺による尿道閉塞を改善します。水蒸気を使用して組織を変性し吸収させるため、
体内に異物を残さず治療ができます。術後5年時点でも安定した効果と性機能の維持が示唆されている、
低侵襲な経尿道的前立腺肥大症治療です。当院では原則全身麻酔下に治療を行っております。
経尿道的水蒸気治療(Rezumシステム)
“ © 2025 Boston Scientific Corporation. All rights reserved.”
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経尿道的ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(ボトックス治療)
ボトックスとは、ボツリヌス菌がつくり出すA型ボツリヌストキシンという天然のタンパク質を
有効成分とする薬です。ボトックス治療は、膀胱鏡を用いて膀胱筋層内に直接ボトックスを注射して
一過性の不全麻痺を引き起こし、排尿筋の過活動を軽減する治療法です。ボツリヌス菌を注射するわけでは
ありませんので、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。内服治療に対し不応性の過活動膀胱および
神経因性膀胱患者に対して有効な治療法です。効果持続期間は過活動膀胱では6~10ヵ月、
神経因性膀胱では8~11ヵ月程度です。泌尿器科領域では、
2012年に米国で初めて神経因性排尿筋過活動に対する適応を取得して以来、現在では世界90ヵ国以上で
治療抵抗性の過活動膀胱、および神経因性膀胱の標準治療として普及しています。
当院では過活動膀胱に対して外来治療として、膀胱内に挿入したカテーテルから
麻酔薬(4%リドカイン液30~40mL)を15分間注入したうえで、軟性膀胱鏡を使用して施行しております。